今や、人口の4人に1人が65歳以上の超高齢者社会といわれています。
それに伴い、世間の年金受給者への風当たりは強くなる一方です。
平均年金月額の推移は、平成23年に15万2千円だったのに対し、27年に14万7千円と大幅に減少しています。
なんとたった5年で支払われる年金が、年間6万円も減っています。
年金生活者の半数以上は貧困状態!?
データ元: 厚生労働省
政府によると、65歳以上の過半数52%は、「大変苦しい」「やや苦しい」と回答していることが分かります。
年金暮らしでぜいたくな生活が送れると思いきや、それはもう過去の夢物語に過ぎません。
今や、「リタイヤ貧乏」と揶揄されるほどです。
医療費や介護保険など、老後資金の不足額をなんとか賄うことに、日々頭をかかえる生活を送っている人も多いと思います。
この記事では、困ったときに頼れる「年金受給者でお金を借りる方法」について解説しています。
年金受給者がお金を借りるには?
年金生活者がお金を借りる方法として、次の3つが挙げられます。
- 【公的貸付】「年金担保融資制度」で、年金を担保に借りる(平成34年3月末終了)
- 【公的貸付】「生活福祉資金貸付制度」を利用して、国から融資を受ける
- 【民間金融機関】銀行・消費者金融などのローンを利用する
リタイア後は、貸してくれる民間金融機関がぐっと減少します。
年金受給者の場合、病気などによって返済できなくなるリスクが想定されるからです。
銀行などで自動車ローンを組むことも難しくなり、車屋さんでは冷たい態度を取られ始めます。
民間金融機関では、65歳〜69歳までといった年齢制限が設けられています。
しかし国の公的貸付によるサポートには、年齢規制がありません。
年金担保融資制度は、平成34年3月に終了する見通しですが、今ならまだ申込みが可能です。
年金担保融資制度の終了後は、こちらも公的な「生活福祉資金貸付制度」が代わって利用できます。
このように年金収入で、お金を借りる方法は意外と多くあることが分かります。
では、年金担保融資とは一体どんな内容なのでしょうか。
WAMの「年金担保融資制度」なら年金を担保に借りれる
WAMの「年金担保融資」は、年金受給者を対象として、年金を担保に融資が受けられる公的な制度です。
年金額の8割以内が借りられて、金利も年2.1%と安くなっています。
民間金融機関で借りると、金利10.0%を超える場合があります。
民間金融機関とくらべて、年金担保融資は大変低金利の設定になっていることが分かります。
利用対象者
現在、年金手帳を持っており、年金を受給している方が対象となります。
将来的に年金を受給する可能性があっても、現在、年金を受給していない方は利用できません。
- 国民年金・厚生年金保険年金証書
- 国民年金証書
- 厚生年金保険年金証書
- 船員保険年金証書
- 労働者災害補償保険年金証書
※生活保護受給者は利用できませんので、ご注意ください。
融資額
- 10万円〜200万円以内
- 受給している年金の0.8倍以内
- 1回あたりの定額返済額の15倍以内
10万円〜200万円の範囲内で、受給している年金額8割以内が借りられます。
利率
- 年金担保融資:2.8%
- 労災年金担保融資:2.1%
融資条件に合わせて、上記のいずれかの金利が設定されます。
全体のうち約99.6%が年金担保融資を利用していますので、金利2.8%と考えるとわかりやすいと思います。
担保
年金を担保として、それと引き換えに「年金証書預り証」が発行されます。
参考元: 融資制度のあらまし|WAM
年金担保融資制度は手続きが大変で利用する人が少ない!?
年金担保融資制度の融資までの流れ
- 相談
- 申込手続き
- 審査
- 決定
- 融資実行
WAMなどへ相談のうえで、申込みが可能になります。
申込書や年金証書など、全7種類の書類を提出していきます。
審査には、4〜5週間程度の期間がかかります。
審査通過後、本人あてに電話連絡が入ります。
融資実行日に、指定先の口座へお金が振り込まれます。
融資実行までに、少なくとも1ヶ月半以上はかかります。
平成29年には、年金担保融資を76,657人が利用しています。
年金受給者全体(2,430万世帯)のうち、約0.3%と便利な制度にもかかわらず、利用者が少ない模様です。
では、なぜ貧困高齢者が多い中、利用する人が少ないのでしょうか。
ひとつは「制度を知っている人が少ないこと」、ふたつめは「手続きが面倒で利用するハードルが高いこと」が挙げられます。
年金担保融資のフタをあけて見ると、審査だけでも4〜5週間以上かかることが分かりました。
10万円のみを借りたい場合でも、住宅ローン並みに書類を用意して、審査を待たなくてはなりません。
年金担保融資制度は平成34年3月末日で廃止する!?
年金担保融資制度は、平成34年3月末に廃止される見通しです。
平成34年3月末日まで申込みが可能で、制度終了後に繰り上げ返済をする必要もありません。
ここで、なぜ年金担保融資が廃止になるのか気になった人も多いと思います。
年金担保融資は、制度自体の規制が緩く、仕組みの穴が多くありました。
そのひとつが、年金担保融資を借りたは良いものの、結局のところ返済が賄えずに、生活保護金を充当させる人があとを絶たなかったようです。
この年金担保融資の重要な穴を埋めた、もうひとつの代替え案が「生活福祉資金貸付制度」になります。
「生活福祉資金貸付制度」が年金担保の代替え案!?
生活福祉資金貸付制度は、年金担保融資と比べてさらに低金利な設定になっています。
年金担保融資を新たに改善した、代替え案が「生活福祉資金貸付制度」になりますので、さらに使い勝手が良いです。
年金担保融資 | 保証人ありで、年2.8% |
---|---|
生活福祉資金貸付制度 | 無利子(保証人なし年1.5%) |
何度もいいますが、年金担保融資は、年金収入者のみしか利用できません。
しかし生活福祉資金貸付制度は、「低所得者・障害者・高齢者」などの様々な世帯が対象になります。
保証人を立てると無利子で借りられるので、年金担保融資が廃止されるのも納得するほど大変魅力的な内容になっています。
生活福祉資金貸付制度もまた、年金担保融資と同様に、高齢者を対象とした貸付をおこなっています。
生活福祉資金貸付制度についてもっと良く知りたい場合は、下記の記事を参考にしてください。
生活福祉資金貸付制度の審査基準と申し込み方法をわかりやすく解説
生活福祉資金貸付制度の審査基準と申し込み方法をわかりやすく解説しています。生活福祉資金貸付制度の審査時間はどのくらいかかるのでしょうか。また審査に落ちる人の特徴を知っておくことで、融資が受けられるかどうか判断できます。
銀行や消費者金融のローン貸付けが一番使い勝手が良い!?
ここまでの流れをみると、高齢者で借りるなら「生活福祉資金貸付制度」が最強だということが分かります。
しかし、生活福祉資金貸付制度にもネックがあり、カードローンなどの利用があると審査に通らず借りられません。
年金担保貸付と同様に、最低でも融資までに1ヶ月半程度かかりますので、すぐに借りられないデメリットもあります。
生活福祉資金貸付制度のデメリット
- カードローンなどの利用があると審査に通らない
- 借り入れまでに時間がかかる
国の公的貸付になりますから、どうしても手続きに時間がかかってしまいます。
民間金融機関のローンなら、最短当日の借り入れが可能です。
上述で民間金融機関のローンは、年齢制限があるといいましたが、規制が緩いところも中にはあります。
70歳以上の高齢者でも利用できるカードローンを、下記で紹介していますので合わせてご覧ください。
引退後でもOK!65歳〜80歳以上の超高齢者でも借りれるローンまとめ
65歳〜85歳以上でも借りられるローンは数多くあります。仕事を引退しても利用できる無担保のカードローンから、年齢制限に関係なく借りれるリバースモーゲージまで。シニア向けの様々なローン商品を紹介しています。
まとめ
年金担保融資などの公的貸付は、金利は安いものの、最初の手続きがかなり面倒です。
何度も役所に足を運ばなければならず、足腰の弱い人にとっては負担の大きな方法といえます。
年金担保融資から、生活福祉資金貸付にバトンタッチして、利用しやすくなったとはいえ、まだまだ課題が多いように感じられます。
多くの民間金融機関は、インターネット上で手続きが完了するようになっているので、体調が悪くて外へ出られない人にもやさしい内容になっています。
借入先を絞り込み条件で探す
条件を指定して検索ボタンをクリックしてください。